2014年4月25日金曜日

みこりん食堂 4月26日のお献立

久しぶりのみこりん食堂のお知らせに、
たくさんの「いいね!」を頂戴しありがとうございます。

昨年は、新しくはじめたお料理とケータリングの
プロジェクトGOCHISOに、息を吸うのも忘れるくらい
とてもとても集中して、緊張して取り組んでいたので、
ずっと続けていた食堂をなかなか開けることができませんでした。


けれど、最近
「もう食堂はやらないの?」
「最近食堂やっていないの?」
「またやってよ。」
と、言って頂くことがたくさんあって。

いつの間にか、みんなの生活になじんでいって
いたんだなぁ、と教えてもらうことができました。

それは、とてもとても幸せなメッセージでした。

ロンドンから戻って、
平日は仕事をしながら始めた「みこりん食堂」。
あっと言う間に3年以上経ったようです。

そんなわけで、
今年は、またなるべく開けたいな、
という気持ちになっています。


「みこりん食堂」で作っているごはんは、
私が家族と食べたいごはんです。

繰り返しの定番のものがあって、
旬のものが少し入って、
ちょっと手間のかかるものや、
安くておいしくてボリュームがあるものも。
あたたかいごはんとおみそ汁と、
たっぷりのあたたかいお茶があるような。

たわいのない日常や近況のおしゃべりと、
特別でないごはんです。

またぼちぼちとやっていきます。
ぜひひやかしに、来て下さい。

<お献立>
・ハンバーグ
・鯖の味噌煮

つけ合わせは
・フキノトウの入ったたまご焼き
・きんぴらごぼう
・キャベツの浅漬け
・もやしと小松菜のおみそ汁


みこりん食堂
住所:武蔵野市吉祥寺本町1-25-21
営業時間:12:00-19:00

吉祥寺駅北口を出て、右側に線路沿いを進むと、
ファミリーマートとナポリタン屋さんの間を入って
すぐの右側にあるのがmikorinです。

2014年4月22日火曜日

さくらのはなのちるをみている。


はるの、終わっていくのをみている。

細くて冷たいはるの雨に、
終わりかけた八重桜の花びらの
たくさんたくさん散らされて。

道の端に吹き溜まるのを

見つけてそのふかふかに、
こっそり手を入れてみる。

手のひらから正大に
吹かれていく花びらを。


みている、

ふわふわで白いふかふかの

スポンジの。

ケーキの上に散らしてみたい。


はるうまれのあの子にそっと。

届けてみたい。
そんな気がする。


くもり空。

さくらのはなのちるをみている。



2014年3月17日月曜日

Dubaiの風。

ヒースロー空港に着くと、
出発便が2時間遅れているらしいことが分かった。

Dubaiで乗り換えないといけないのだけれど、
間に合うかしら?

と聞いてみたけれど、
何とも言えないから、Dubaiに着いたら
とにかく急いでゲートに向かえ、とのことだった。

そして、やっぱり、
間に合わなかった。


その日の夜中3時の振替便のチケットを取るのに3時間も並んで、
やっとDubaiのホテルに移動できることに。

目的地と違う場所にたどり着くのは不思議。

冬のロンドンと
冬の東京の間。























南の国に特有の、
甘くてあたたかな風。


せっかくだからと乗った
シティーツアーのバスは、
程よい空調と、
窓からの夏の陽射し、
アラビア語なまりのほとんど聞き取れない英語のガイド。

いろいろな国や年代の乗客。

うとうとする。
夏休みの安心なお昼寝みたい。


南国の、気怠くて、
少しいいかげんな雰囲気。

幻みたいな、高層ビル群。

バカンスのビーチ。

お祈りの声。

鮮やかな黄色の花。

なまぬるい風。


ここがどこか、
いまがいつかすら、
わからなくなるみたい。

ロンドンの西。






















昔好きだった
ハイドパークの池の端にあるレストランに、
久しぶりに行ってみた。

味も、プレゼンテーションもすっかり落ちて、
観光客向けのものに変わってしまっていた。
昔はファルコンの白いホーローに、
揚げたてのフレンチフライがおいしかったのに。

それをつまみながら、パイントのサイダーを
短い夏によく飲んだ。


3年もあれば、いろんなことが変わるのに、
充分ということかもしれない。
3年あれば、なんだって変わる。



池に面してガラス張りになったそのお店から、
変わり易いロンドンのお天気を見ていた。

空がだんだんと雲を携えて、
空気に薄いもやがかかったかと思うと、
真っ暗になった空から降り出す雨。
風が強い。嵐みたい。

かと思うと、直に雨は止んで、
また雲が薄くなっていく。
太陽をきらきらと反射する、雨粒。


ぼんやりと読んでいた本を切り上げて、
そのお店を後にした。

外に出て、
歩き始めたその瞬間の、
空が。

空が、あまりにあの頃のままだったので。




あの頃。
ハイドパークからすぐの、小さな丘に住んでいた。

一度だけ、とても不機嫌な彼と
ハイドパークを散歩したことがあった。

もう話すことなどひとつもなかったはずの彼と、
なぜ公園まで出かけることになったのか、
今となっては思い出すことができない。


新宿御苑みたいに、
セントラルパークみたいに、
街のなかにあるハイドパークも
空がぽっかりと大きく見えて。

その時の私は、
その大きな空を見ながら、
とても困っていた。
そして、笑ってしまうくらい
心もとなかった。


ロンドンの西の空が、長い間
その心もとない気持ちを預かっていてくれたみたいだった。


空に忘れていった忘れ物を久しぶりに見つけたら、
意外に涙が止まらなかった。


どんなにがんばっても、
どんなに願っても、
どうしようもならないことが
人生にはあるんだなぁ、と
思い知っていたあの頃。


泣きながら公園を歩いていたら、
このまま夕飯のおつかいをして、
あの丘の家に帰れそうだった。



雨上がりの冷たくて気持ちのよい風が吹いていた。


ずっと許したかったのかもしれない。

あの頃の彼を。

あの頃の自分を。


思いの外、長い時間がかかってしまったけれど、
きっと少しずつ、忘れていける。
そんな気がした。


傾いた陽。
ロンドンの西。

2014年2月22日土曜日

肉を買う。


ロンドンでお肉を、思い通りに買うのは、
私にとってしばしば難しい。

週末を控えた金曜日のBorough market。
普段はあまりお料理をしない印象のロンドナーだけれど、
パーティとか、恋人のお誕生日とか記念日とか、
特別な時に、男女を問わずに発揮するお料理へのモチベーション。

その金曜日はバレンタインデイで、
お肉屋さんはいつにもましてひとだかり。
みんながレシピを片手に、少しいいお肉を塊で買っている。
大切な人とのバレンタインディナーに。


マーケットのお肉屋さんは、
大きな冷蔵庫をすぐそこに持っていて、
まるごとの動物達が吊るされている。

骨も、皮も、しっかりとついていて、
作りたいお料理によって、部位や切り方、
大きさを聞いてくれる。

「ハロー、マダム!」
「どんなお料理にするの?」
「そのメニューなら、ここが最高だよ。」
「塊であげようか?それとも幾つかに分けるの?
厚さはどれくらい?切ってあげようか?」
「表に出てるのはこれだけだけど、冷蔵庫の方を
チェックしてあげるからちょっと待っていて。」
「どんな風に調理したいの、言ってごらん?
それなら、それじゃなくてこれだよ。」
「それは今熟成中だから出せるのがないけれど、
かわりにこの部位はどうだろう?」


大きなまな板で、
大きな包丁で、
何日か前までは生き物だった形のそれに、
きれいに包丁を入れて切り分けてくれる。



人だかりで
「すみませんー!」のタイミングに負けることしばし。
見兼ねた若手のお兄さんが注文をとってくれる。

どんなお料理をどんな風に作るのか、
明確にお伝えすることが大事。
もう二度と注文を取ってもらえないから。苦笑


「そこのバラ肉を300g!」
「これ?」「はいっ。」

「600gあるけど、半分に切る?」
「半分でお願いしますっ。」
「これでいい?このグラムでいい?」
「完璧です。」

「他には?」
「豚のミンチを200g、それから
牛のミンチはありますか?」
「そこにあるよ。」
「じゃあそれを100gお願いします!」

「後は?」
「それで大丈夫です。」

大声。笑



彼らはとても誇らしそうに働く。

「お肉のことなら、なんだって聞いてよ。
だって俺は肉屋なんだからさ。」
と身体が言っているみたいに。


誇らしく働く人を見るのはいい。
誇らしく働く人から、食べる物を買うのはいい。



ロンドンでお肉を買う、という、
至難。笑



小さなお台所の、
小さな窓から。